フリッド90Sの開発話と説明

ルアー解説
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私がフリッド90sのプロトを預かったのが2020年の10月でした。

さまざまなタイプのプロト

この時には既にフリッド90sというシンキングペンシルはほぼ出来上がっていて、すぐに現場で使用しても活躍するレベルでした。

それはフリッド90sに限った事ではなく、工場長やスタッフの方々がプロトルアーを煮詰めて良い仕上がりになってから我々テスター陣のテスト開始がBlueBlueの基本的な流れです。

ただ、いくら仕上がりが良くてもここから更に時間をかけていくのがBlueBlueです。

全国各地で自身のホームに精通したテスター陣が各々のフィールドにプロトルアーを落とし込み、地道にテストしていきます。

私もその中の一人として、微力ながらお手伝いさせて頂いています。

そして、今回の記事はそんな私がフリッド90sのプロトに関わった日々の記録になります。

あわせて発売間近であるフリッド90sの解説も少ししていきますので、最後まで宜しくお願い致します!

フリッド90Sを選ぶ理由とは

90mmのシンキングペンシル。フック込みで約27gでツインリップ構造により少し変わった見た目をしている。外洋での使用をコンセプトとして開発が進んでいる期待のルアー。

既に市場にあるフリッド125sのダウンサイジングモデルであるフリッド90s。

よく飛び、よく誘い、よく伝え、まるでミノーのような感覚で使用できるからシンキングペンシルに対する苦手意識を克服できるというフリッド125sの長所はしっかり引き継いでいます。

そして小粒で食わせやすくヘビーシンキングペンシルなのに低速で扱いやすいのが特徴です。

小場所には向かないルアーですが、私が普段から通う地磯エリアに落とし込みやすかったフリッド90sプロト。

預かってから最初の一匹までは時間はかかりませんでした。

なぜかフリッドは丸呑みが多い気する

それもそのはず…このフリッド90sは、地磯エリアでの使用を一つのコンセプトとして開発しています。

そのコンセプトに関しては、冒頭で書いてあるこのルアーの特徴からも察して頂けるかと思います。

そして、使い所や使い時もわかりやすいですし、選ぶ理由が明確でユーザーに伝わりやすいのがフリッド90sです。

例えば近距離戦で、魚がいる所がわかっている状況ならばフリッド90sの出る幕は無いかと思います。

しかし、地磯やサーフのオープンエリアで風を無視してミノーでは届かないもっと遠くに…しっかり誘ってフレッシュな魚に気づかせたい…だけどシルエットは小粒で食わしやすくしたい…そんな時はフリッド90sの出番です。

これらが使い所や使い時の一部です。

ミノーでは届かないエリアにはフレッシュな魚がいる
遠い流れの変化にいた大型鱸

が、これに関してはフリッド90sに限った事ではなくヘビーシンキングペンシルというジャンル全体にあてはまるところ。

これがフリッド90sを選ぶ理由とするには、まだ足りません。

では、フリッド90sを選ぶ理由とは?

それは、頭と腹のツインリップ構造にあるかと思います。

ツインリップで少し変わった形状をしているフリッド90S

頭のリップは流れを受けたら抵抗で頭を下へ押さえ込む役割を。


腹部のリップは流れを受けたら抵抗で尻を浮かせる役割を担っています。

後方固定重心でどうしても尻下がりになってしまうヘビーシンキングペンシルの姿勢を少しでも矯正しようという意図があります。

ここを意識したヘビーシンキングペンシルは市場にあまりないかと思います。

水平とはいかないけれど可能な限り矯正している


そして、二つのリップには更にもう一つ役割があります。

それは、ヘビーシンキングペンシルらしからぬ低速アプローチとしっかりとある巻き感です。

その巻き感は、アングラーへの情報伝達としてしっかりと機能しています。

このあたりがフリッド90sを選ぶ理由となるかと考えています。

ここからは、更に開発のお話へ。

開発話

最初に預かったのはEタイプとHタイプのフリッド90sプロトでした。

この時には既に工場長と宮本さんのフリッド90s開発がAタイプBタイプなどのプロトから様々な仕様変更や改善を経て進んでいるのが伺えます。

その二つの特徴はというと、より低速で扱いやすいEタイプ。

より水中で耐えるHタイプ。

投げて巻くだけで使用するならば好まれるのはEタイプ。

払い出しや離岸流など、様々なシチュエーションをクリアするならHタイプといったイメージです。

とはいっても極端に違いがある訳ではなく、ベースは同じだけれど、その中でどちらに寄った性能なのかといった程度の違いです。

そして、その違いで釣れる釣れないといった話でもなく、どちらも魚は釣れるのです。

フリッド90Sで美しい真鯛

釣果を出す事と並行しながら、フリッド90sとはどんなルアーでどうあるべきか?を全国各地のテスター陣が模索していたのが、この時です。

当時のフリッド90sプロトに装着されていたフックは6番フック。

地磯エリアでの使用を視野に入れているならば、もう少しフックサイズに安心感が欲しいところでした。

魚の口にルアーが収まりやすい小粒ルアーはフックサイズが小さくても長尺ルアーよりはフック伸びが少ないように感じますが、バランスやアクションやトラブルなどを考慮した上で可能な限りフックサイズは大きくできたらそれはアドバンテージです。

フックサイズ、アクション、EタイプなのかHタイプなのか、その他もろもろを工場長に連絡したところ工場長から写真が届きました。

フリッド90SのBタイプでいい魚

「Bタイプもいいんですよ」

やはり釣果がついてくると悩みもでてくるんです。

そうやって一進一退しつつ、時間をかけて開発は進んでいきます。

まだまだテストは始まったばかりでした。

それから数ヶ月後…開発も少しづつ進行して、ここからはHタイプとFタイプの投げ込みです。

どちらも良く、どちらも釣れ…

真鯛相手でも5番フックで勝負できた

この時にフリッド90sに搭載するフックが5番に決まり、フックサイズのアップをクリアしました。

このあたりで工場長と宮本さんのフリッド90sに対する方向性を感じて、私なりにフリッド90sの着地点を理解した気がしました。

発売にむけラストスパート

ここからは更にフリッド90sプロトを投げて投げてひたすら投げこみます。

実績となる釣果を積み上げ、強度や使用感など修正点の確認などを行います。

投げこんだ結果、新しい問題が浮上する事があるのでひたすらに投げます。

そして2021年の3月から投げ込むフリッド90sプロトはJタイプとIタイプに開発は進み更にテストしていきます。

その違いはわずか0.5g程ウェイトが違うだけ。

だけど、確実に違う使用感。

そのあたりをもろもろ感じとり工場長へフィードバックしていきます。

そして7月に最終フィードバックを経て、2022年1月現在はフリッド90s製品版を預かっています。

発売は本年の春頃の見込み。

我々テスター陣に残されたフリッド90sに関する仕事は、発売に向けてのプロモーションとフリッド90sの実績を更に作り上げる事。

要は、魚を釣る事です。

いよいよラストスパート。

発売に向けて、皆様にフリッド90sを知って頂く為に頑張ります。

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