釣れない日々は歓喜貯金

釣行記録

スパイクを履き靴紐を結びながら神頼み。

「今日こそは釣らせてほしい…」

神頼みとは柄にもないが、17日の間スズキに触れていないのだから仕方ない。釣行回数にすると10回以上連続のボウズである。

いくらポジティブな私でも、少々メンタルにくる。

靴紐を結んだら、ゲームベストを着用しキャップを深く被り深呼吸。

いつも通りシーバスタックルを握りポイントへ。

歩く事15分。ポイントが近づくにつれ何故か緊張してくる。今、スズキと対峙している訳でもないのに何に緊張しているのか。自分でもソレがわからず何だか笑えてきた。

「お願いします」

ポイントに到着し、立ち位置に立つと無意識に出た言葉。おそらくポイントに挨拶したのだろうけど、これまた自分でも理由はわからず…

水深と流れの強度から先発はブローウィン125fでいく事にした。

一旦、あたりを見回して無駄なく丁寧にアプローチする為にプランニング。

流れの変化やシモリが絡むピンなど、いくつかスズキが着くべき所を頭の中で整理してアプローチ開始。

1投目はミスキャスト…

すぐさま回収して、ブローウィン125fを入れ直す。

その2投目…

「食うならココだろ?」

「食わない…」

次のキャストは更に奥に入れてみようと考えながら、ゆっくり回収していると…

…クンッ…

「え?ホンダワラ?」

何だか海藻がフックに引っかかったような違和感。ただ、確実に重くなっいくハンドル。

すると急に強烈な絞り込み。ティップが海面に突き刺さる。

「やばい、魚やった!しかもでかい!」

ブローウィン125fのフックは6番。無理はできない。ドラグを緩めラインを出そうとすると、今度は一気に緩むライン。

そう、今度は私に向かって急発信してきている。

「やばいな…フッキングできてない…」

バレる予感が頭をよぎる。

どんどん緩むラインを巻いて巻いて回収する。そして、やっとテンションがかかった時にはもう目前。

「でかい!90近い!?てか、太い!」

一気にズリあげる。そして、スズキが地磯にもたれ掛かった瞬間にブローウィン125fが空を待った。

反転して海に帰ろうとするスズキ。本能的に帰るべき方向がわかっているのだろう。

私は慌てて海に飛び込んだ。しかし、それは間に合わずスズキは真っ暗な海へ帰っていった。

私は天を仰いだ。

声も出ず、半身ズブ濡れでそのまま地磯にもたれ掛かった。

「何やってんだオレは…下手クソが」

頭の中はそればかり。流石にショック…それから、ただただうつむき10分程座り込んだ。ズブ濡れの足は痛い程に冷えていた。

しかし、少し落ち込んだら次は自分で奮起する。

「…頑張ろう。釣りたい。」

気を取り直し再開。

そして、先程のスズキから少し分析。

連日吹き続いた爆風と気温の低下…あの微弱なバイトはその影響なのかわからないけれど、ルアーサイズは落として更にゆっくりアプローチした方が良さそう。レンジは少し下がるけど、ナレージ65を流れの中で転がしてみる事に。

流れの中へ入れ込み、感覚的には文字通り【流れの中を転がす】感覚。

すると…

…クンッ…

一気に巻く。とにかく巻く。ラインが張りテンションがかかってからも更に巻く。そこから更に、グーッとスイープに2度フッキングした。

「エラ洗いしない。でかい。」

今度はもう終始テンションをかけたままランディングまで持ち込む。一気にズリ上げ、海に立ち込みフィッシュグリップで掴んだ。

「…やった。」

スーパーコンディションのスズキ。
ナレージ65をバックリ。

ランカーサイズ。しっかりウェイトがのった秋らしい太さ。

とても良いコンディションだ。

「最高だ…」

その一言に尽きる。私はこの1匹で満足だった。これ以上釣りをしようとも思えず帰路につく事にした。

帰り道は、痛い程に冷えきっていた足が嘘のようにポカポカで暖かくなっていた。

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