盆休みの中盤。
暇を持て余していた私は、今はもう使う事の無くなったルアーを整理していた。
全てのルアーに思い出がある訳ではないけれど、たくさん魚を釣ったルアーには思い入れも強い。一つ一つ管理をしやすくする為にフックを外していた午前11時30分頃。
ルアービルダーの山先亮一さんからラインが届いた。
いつも通り絵文字も何も使わない必要最低限の内容wだいたいいつもこんな感じw男同士なんてこんなもん。
「休みです」と返信すると、山先さんからすぐに着信。
「もしもし、寺ちゃんおつかれー」
そこから始まる電話は、今後撮影したい動画の内容や近況報告や雑談など尽きる事ない話題。気づけば12時過ぎまで電話していた。
そして、なぜか知らぬ間に12時30分頃には合流していたw
そう。今回は久しぶりの山先さんと夏休み釣行である!
憧れのリバーシーバス
タックル、バック、ウェーダーを山先さんの車へ積み込みそそくさと準備を済ます。そして、山先さんのお宅に車を置かせてもらい釣り場へ出発。
ここのところ連日降り続いた大雨が、今日は少し降ったり止んだりと良い感じ。土砂降りの中でも釣りをする気は十分あったが、小雨ならそれに越した事はない。これはきっと私の日頃の行いが良かったのだろう。…多分w
移動中の車内では私の大好きな綾鷹の抹茶で喉を潤わせながら尽きる事ない会話。そして、数十分車を走らせると河川のポイントへ到着した。
助手席から降りてすぐに目の前に広がる景色。それは、シーバスフィッシングで私が経験した事のないロケーションだった。
密どころの騒ぎではないレベルでどこまでも茂る草。それはあたり一面に燃え盛る緑色の炎のような力強さ。
そして轟音を響かせながら走る笹濁りの水。足でも滑らせて転倒しようもんなら、ウェーダーを履いてたら間違いなく助からないだろう。私がそうなった時には、山先さんもきっと流れていく私を見守り手を振るだろう。逆なら私もそうする。そのくらい流れているw
とにもかくにも私が経験した事の無いロケーション。
そう。シーバス歴はそろそろ10年程になりそうだが、私はリバーシーバスにいたっては全くの初心者。だから目の前の光景すべてが新鮮で、なんとも表現し難い高揚感!
「シーバスフィッシングで、この憧れてたロケーションに身を置けただけで満足だ」
コレは決して大袈裟な表現ではなく、素直にそう思える程だった。
「寺ちゃん。今、めちゃくちゃワクワクしよるよね?」と山先さん。
どうやら見透かされていたようだwまぁそれもそのはず。テンションが急上昇の私はというと、ウェーダー履く時も、ベスト着る時もずっとニヤニヤしっぱなし。それはコップから水が溢れるように、頭の先から足元まで興奮が溢れかえっていた。
さぁ!準備を整えたら、山先さんの後ろを着いていき安全な経路で入水だ。そして私の第一声はというと…
「うおー、水面がちけぇー!」
普段はホームでのロックショアメインな私。ヘソより上まで水に浸かる事がない。だから、これまた新鮮。下半身が使いにくい状況での慣れないキャストでスタートフィッシング!
リバーシーバスをキャッチ
まずはスネコン80sから入れてみる。カラーはクリアカラー。デイゲームという事もあり、サイズ感もシルエットもボカして誤魔化していく。
しかし内部構造が複雑なスネコンは真っ直ぐに光を通さないから、しっかり光を屈折させてアピールは忘れない。さらにガタガタと音を出して存在感も出していく。
私はリバーシーバスが初めてといっても流れの釣りに関しては、それなりに熱量を持って挑んできた。なんとなくだが、目の前の流れに着いてるであろうシーバスの位置やアプローチはすぐにイメージできた。そのイメージが正解かどうかは、そのうち魚が答え合わせしてくれるはずだ。
そして数投後…
まずは足元からと飛距離を出さず近距離をゆっくりとアプローチしていると…コンッ!と弾かれるようなバイト。
だが、残念ながらのらず。シーバスがスネコンにちょっかいを出したのか、はたまたシーバスのサイズが小さいのか。そんな印象のバイトだった。
「おー、山先さんバイトありました!」と私。
再度同じようにアプローチすると…
ゴン!と、先程よりも食ってきた感あるバイトがあるがバラし…
なにか違うんだろなぁ…と、次は少しアプローチの実を変えていく事に。使うルアーはシャローランナーのプロト。すると答え合わせはすぐにできた!
連発!そして、二本目はいいサイズ!
「やった…これがリバーシーバス…うまく言葉にできないけど最高だ…」
自分自身でビックリする程に興奮していた。ニヤニヤしすぎてヨダレが出そうだし、声が裏返ったりしている。他人事のように言うが、よほど嬉しかったのだと思うw
そしてしっかり蘇生しつつ余韻に浸りリリース。しかし、夏のシーバスは元気だ。そっと手を離すと、一目散に帰っていった。
さぁ釣りを再開だ。しかし、それからはシャローランナーで反応が薄くなった。ここでルアーチェンジをしてみた。使うのはシャルダス。
「たしかシーバスジャーニーでは、こんな感じの状況でシャルダス入れてたよな…真似してみよう」
コースを変えて流れが少し落ち着いてるところをシャルダスでゆっくりアプローチすると…
ドン!と強烈なバイト!
これまたいいサイズ!
どうやらミノーにしてもシャルダスにしても手前の流れにラインを食わすとバイトが無い。立ち位置をなるべく高く、ロッドを立ててラインを流れに食われないように意識するとバイトがある。そして着水直後からアクションする立ち上がりが良いルアーが良い感じ。シャルダスのブレードなんて着水直後から流れを受けて回転してるしね。
しかしそんな状況が長く続く程、甘いものじゃない。当然ながらいつかはシーバスからの反応がなくなる。
「ならば長居は無用!」と山先さんとランガンにシフトチェンジ。
するとすぐに山先さんがキャッチ!
いい鱸!
山先さんの写真を撮影した後、私はミノーでドリフトの釣りをしてみた。すると…引き続き私もブローウィン125Fでキャッチ!
アップクロスに投入後、ちょっとした背があるところでのヒットだった。タイミング的にはブローウィン125Fがドリフト中にターンした瞬間。これもよく耳にするリバーシーバスの鉄板アプローチ。
「こういう事なんだね。めちゃ気持ちいいわ。」
今まで頭だけで蓄積されたリバーシーバスってのを少しだけ再現できて、結果的にシーバスが答え合わせしてくれた。なんだかすごく腑に落ちて、素晴らしく気持ちよかった。
そして、その魚を最後にこの日の釣りを終えた。
が、しかし私の夏休みはまだ続くのだった!
続きは後編で…